心に

ふるたび溢れてくる…

誰よりも私は

貴方を想うよ…





純愛恋歌






今日は一年に一度のバレンタイン。

学校の女の子は皆、いつもより可愛く見せたりして、張り切ってる…

それに男の子だって、クールに決め付けて、アピールしてるし…



「毎年毎年、よくやるなぁ…」



私は、教室の窓から空を眺めながら独り言を呟いていた。

トントン…



。」



ふと、私の肩を誰かが叩いた。



「誰…?」



振り向くとそこに居たのは、錦戸亮。



「なんだ…亮か…」

「なんだはないやろ。せっかく来てやってんのに。」



亮とは私が物心ついた頃からの幼なじみで、家も隣同士。

親が昔から仲が良いから小さい頃からずっと一緒だった。

昔から、苛烈で毒舌。

取り柄と言ったら…やたら大食い。
大食いのくせに全く太らない亮が羨ましかったり…



「誰も来てなんて頼んでないよ…で、何の用?」

「ん……」



そう言って右手を私の前に出す。



「…何?この手は…」



私はなんとなく自分の手を置いてみた。



「お手ちゃうわ、アホ。」



亮は私の手をはらってまた手を出した。



「チョコや。」

「はい?」



いきなりそう言われても…



「ないんか?」

「亮にあげるチョコなんてないよ。」



今度は私が亮の手をはらった。



「つまんない女やな…」

「……」



一言ズキッとくる言葉を吐いた亮。



「亮ー!女の子が呼んでるぞぉ!」



そしたら急に廊下から亮の友達が亮を呼んでて…

女の子が呼んでるって…



「あぁ…今、行くわ。」



亮は私に何も言わずに女の子の方へ行ってしまった…



「何よ…人のキモチも考えずに…」



私は、亮と初めて会ったとき、一目惚れした…

そして想いなんて伝える事無く今日までやってきた。

日が過ぎてけば過ぎてくほど亮の事が好きになってくるの…

チョコだって…

ちゃんと『好き』って手紙書いて持ってきたのに…

亮の態度がムカついたからあげなかった。

けど後でちゃんと渡すつもりではいるんだけどね。



キーンコーンカーンコーン



チャイムが鳴って自分の席に座ると鳴り終わるギリギリに亮が戻ってきた…

たまたま昨日の席替えで私と亮は隣になったから、話しかけるチャンスだけど、あえ
てそれはしなかった…

なんか亮…楽しそうだったし…

それからずっと私と亮は何の会話もなく、全部の授業を終えた。




放課後。
いつも亮と一緒に帰ってる私は、亮を待っていた。

少し経って、やっと亮が来た。



「あ、亮…遅かったじゃん。」

「すまん…今日は先に帰ってくれへん?ちょっと委員会、終わりそうにないねん…」

「…そっか。なら仕方ないね。わかった…じゃ。」

「あぁ、ほな…」



亮は私に背を向けると小走りで教室へ戻っていった。

一人になった私は結局渡しそびれたチョコの箱を手に持ちながら家へ帰っていく。


数分後。
自分の家に着いた私は、隣の家の亮の家を見た。



「あ、そうだ…」



そして私は自分の家に入らず亮の家へ行った。

ピンポーン…


ガチャッ



「こんにちは。」

「あら!ちゃんやないの!どないしたん?亮ならまだ帰ってきてへんよ?」

「あ、知ってます。あの…ちょっと亮の部屋入ってもいいですか?忘れ物しちゃって…」

「そんなんやったらええよ!さっ。上がって」

「お邪魔します…」



私は少しだけ亮のお母さんとお話して、亮の部屋へ入った。



「…相変わらずキレイな部屋…」



いつも亮の部屋に入って言う言葉。

男の子にしてはこんなキレイな部屋は亮しかいないって思う…

私は、亮の私物などには触れずに、小さな机の前に座った。



「えっと…これを置いて。」



持っていたチョコの箱と一言だけ『好き』って書いた手紙を置いて、部屋を出た。



「おばさぁん?お邪魔しましたぁ!」

「あ、もうええの?」

「はい。亮によろしくって言っといてください。」

「…?ほな、伝えとくな。」



亮の家を出て、自分の家へ入った。

そして自分の部屋に入って、着替えないでベッドに入って寝てしまった…




「…ん…あっ。私…寝てた」



気が付くともう外は暗くて私は慌てて起き上がった。



「あ、やっと起きたんか?」

「…………亮っ!」

「気付くの遅…」



私の部屋に居たのは、幼なじみの錦戸亮…



「なんでここに?」

「これ、お前のやろ?」



亮が出したのは、チョコの箱と手紙。

私が亮の部屋に置いたもの…



「なんで私?」

「俺の部屋勝手に入れんのだけやし、俺のオカンががよろしくってって言っとったから。」



亮はそう言いながら私がいるベッドの中へ入ってきた…



「ちょっ///亮…」

「なぁ、なんやろ?」



初めて聞いた亮の甘くて低い声…

私の心臓は亮にまで音が聞こえそうなくらいドキドキしていた。



「なぁ…そうやろ?」

「…うん」



亮に見つめられてる私は恥ずかしくなって顔を背けた。


ドサッ

「きゃっ!」


何故か目の前には天井と亮の顔が…



「な、何…」

「言葉より実践や…俺の愛…たっぷり聴かせたる…」

「やっ…お、お母さんとかいるしっ///」



私は必死に亮から離れようとした。
だけどやっぱり男の力には勝てなった…



「俺のオカンと親父達と一緒に出かける言うて、出てったで…だから今は誰もおらへん…」

「…亮っ///」



そして私は亮に優しく愛されました…

好きだよ亮…

大好き…


〜FIN〜


TOP